せっかく長生きしたのに

介護保険サービスを使うには市区町村に申請をして「介護認定」を受けなければならない。

介護認定には「要支援1・2、要介護1・2・3.4・5」と段階があって、この段階ごとにサービスを使える内容が違ってくるのだけど、介護保険サービスを使うには、この「介護認定」というある種の「資格」のようなモノが必要になる。で、65歳以上の方で介護保険サービスを使っている人は18%と言われていて、これは日本が100人の町なら18人で、82人は介護保険サービスを使っていないことになる。

では、その82人の人が介護保険サービス使わなくても日常生活で困っていないかと言えば、そんなことはなく、自分としてはココを何とかしたいとずっと考えていて、「D&Iコミュニティ」で包括できないかと思い、現在スポーツを活用してコミュニティを開発している。ケアマネの資格取った理由も、こういったケースに対応できるようインフォーマルサービスの開発とマッチングを主に考えているからだ。

そして、なぜスポーツを活用するのかって振り返ると今でも忘れられない出来事があって、それが起点であったり原動力だったり。

4、5年前 ある娘さんからお父様の件について電話でご相談をいただいた。

娘さん「あのー、うちの父に運動させたいのですが認知症らしくて普通の所に連れて行かれないのです」

 ≪認知症らしくて≫
 ≪普通の所に連れて行かれない≫

これを聞いた瞬間、なんか凄くショッキングでこの2つのワードがずっとリフレインして…

「認知症らしい」では、要介護認定は難しく介護保険サービスを使う「資格」が無いから介護保険サービスは使えない。でも、「普通の所に連れて行かれない」から、結局は、行き場がなく私に電話が来た。そもそも「普通」って、何だって思うけど。その時の言葉は今でも耳に残っている。

結局、その娘さんがいらっしゃることはなかった。

せっかく長生きしているのに。そんな切なさを少しでも和らげられるようにしていきたい。


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鮎川福祉デザイン事務所
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