~所沢航空公園フットサルコートを活用した地域共生コミュニティ形成事業~

【ユニバーサルサッカー 実施プログラム】

≪アイスブレイク ボール回しリレー≫

 
≪参加者みんな一緒にゲームができるルールを考えながらゲームを実施≫

 

【ユニバーサルモルック 実施プログラム】

≪総当たり戦を実施≫

 

【来賓のご紹介】

衆議院議員 柴山昌彦様

 

埼玉県議会議員 水村篤弘様

 

【参加者からの活動報告書】 長野 僚氏(電動車椅子ユーザー)

<本事業概要>
(私たちが目指す)ユニバーサルスポーツとは、障害や疾患、年齢や各個人が有する特性に関わらず、誰もが対等に楽しめるスポーツのこと。当日の天候や構成、参加人数等を考慮し、その場で皆のアイデアを取り入れ、合意のもとルールを形成していくところに大きな特長がある。背景には今後さらに加速する超高齢社会や多様な人たちが混在する時代の到来を受け、地域に孤立しないコミュニティを創るという信念がある。毎月1回第3日曜日の午前中を基本に、その趣旨に賛同いただいた航空公園管理事務所様の多大なる御協力のもと、コート2面を無料で優先的にお貸しいただいている。当日の記録(写真撮影)についても、コミュニティメンバーがボランティアで行っている。悪天候の場合は中止とするが、懇親会のみ実施する場合もある。今月からサッカー終了後、同所で新たに「ユニバーサルモルック」の活動もスタート。文末にルールを記載する。

 
【ユニバーサルサッカー】
<ウォーミングアップ①>コートの外周を各自のペースでウォーキング
<ウォーミングアップ②>【チーム対抗!】ボール回しリレー

3チームに分かれてボール回しリレーを行い、結束を深めていった。チーム構成は円になった参加者が時計回りに1~4の番号を言っていき、5人ずつランダムに別れた。このコミュニティにおいてサッカーのスキルはそれほど重要ではなく、能力差が生じることは問題ではない。ドリブルをしながら三角コーンを回り、引き継ぎは列の最後尾まで回り込んでチームメイトにボールを渡し、全員でボールをつなぎながら最前列の次の走者に託す。この際、車椅子ユーザーのいるチームは手渡しで、他のチームは各自が肩幅に開いた足の間をキックで通さなければならないといった工夫が施されている。

尚、各チームの均衡を保つため、走行距離は子どもと車椅子ユーザーは大人の1/2で行うのが慣例である。各ゲーム1位には3点、2位には2点、3位には1点が与えられ、直後のゲームに加算される。

 
<試合形式>総当たり戦:ミニゲーム
今回のミニゲームはコート1面をフルに使い、キーパーなしで行った。形式は4チーム総当たりの6分マッチである。ユニバーサルサッカー最大の特長は、①走ってはいけない、②相手が保持したボールを奪いに行ってはいけない、③膝から上のハイボール禁止というところにある。

既述したとおりチーム編成に特別な配慮はなく、能力差を問題にしない。むしろ大人たちも童心に返ってついつい走ってしまう光景があちこちで見られる。車椅子ユーザーのボールタッチはその場所からフリースロー、ペナルティーエリア内の場合はPT(ペナルティースロー)かPKとなる。この日も柴山前文部科学大臣と水村県議会議員が応援に駆けつけてくださった。

 
【ユニバーサルモルック】
*モルック発祥の地:フィンランドでは世界大会も行われている。

~ルール概要~
「モルック」と呼ばれる木の棒を投げ、同じく的である木の棒「スキットル」を倒すことでぴったり50点を目指して点数を競う競技。オーバーした場合は何度でも25点に戻って再開となる。

①1~12の的をめがけモルックを投げ、基本的には倒れた点数が得点となる。
②しかし、1本しか倒れなかった場合には、そこに書かれた数字がそのまま得点となる。
→ゆえに最大12点を取りたい時には、すべてを倒そうとするよりも12点の的だけを狙ったほうが、実は簡単だったりする。

※的であるスキットルは倒れた場所で立て直すため、対戦相手の点数に応じて目的の的を遠ざけたりする駆け引きも醍醐味の1つ。

※正式には「3投外すと失格になる」というルールもあるが、この日は「0点に戻る」というルールで行った。これらがユニバーサルスポーツの特徴といえる。

 

【参加者からの感想】

●大人が本気で楽しんでいる様子は子どもたちに安心感を与える。僕みたいなやつを、皆さんがフツーに突っ込んだり対話したり相談したり笑い合ったりしている光景は、世間的にはインパクト大の衝撃的な光景。→私たちがこれを毎月常習化していくことで間違いなく、私たちの社会は少しずつポジティブに変化していく。(30代男性・脳性麻痺)

●今日もめちゃくちゃに楽しかった! 早くも次回が楽しみです。(40代主婦)

●笑顔あふれる楽しいイベントでした。また、参加させて頂きます。(50代男性・高田馬場でウォーキングサッカー体験会を開催している方)

●初参加で息子までPKゴール頂き、とても良い思い出が作れました! チームは最下位(?)でしたが、とにかく楽しい! 思いやりあるプレーで場を協創する、サッカーの無限の可能性を感じました。関係者および、ご参加された皆様ありがとうございました! 引き続き、さいたま市でもウォーキングサッカー、インクルーシブサッカーを広められるよう活動を進めていきます!(40代男性・理学療法士)

●月に一度のユニバーサルサッカーで雨の中汗を流しましたが、安心してスポーツを楽しめる空間、いろんな人が自然と混ざり合える空間そこにいられることが有難いですね。関わっている人も一緒になって気持ちを共有する。そのこと自体が社会に対する安心感につながると感じています。また来月お会いしましょう!(40代・視覚障害者)

●皆様、本日はお疲れ様でした。サッカーもモルックも楽しかったです。今後も参加しますのでよろしくお願いします。(60代男性・作業療法士)

●今日初参加の〇〇です。とても楽しいひと時を有難うございました! またお邪魔させて頂きます。(50代男性)

●誰もが楽しめる様にルールも工夫されていて、とても勉強になりました!(50代男性・高田馬場でウォーキングサッカー体験会を開催している方)

 

【総評】

 今回初の2部制で、午前ユニバーサルサッカー(以下、Uサッカー)、午後ユニバーサルモルック(以下、Uモルック)を実施。途中雨の降るなか総参加人数36名。Uサッカー25名、初開催のUモルックは11名の参加。Uサッカーには柴山前文部科学大臣、水村県議会議員も激励参加いただきました。事前の応募状況をみていると、Uモルックは天候が良ければあと5名ほど参加の可能性がありました。UモルックはUサッカーほど身体機能を使わないので、今後参加者の幅を広げていきたいと思います。また、Uサッカーでは新規参加者が5名、全体の20%も占め、総参加人数も過去最高を記録しました。
 新規参加の方々の3名はFacebookのウォーキングサッカーコミュニティ(以下、WSC)の皆様でした。私が8月からWSCに当事業の実施状況をお知らせしていたことで知っていただき、また、Uサッカーコミュニティ内にWSCの方がいて宣伝してくれたことが新規参加に繋がったと強く思いました。初参加の方の中では「誰もが楽しめる様にルールも工夫されていて、とても勉強になりました」という感想をいただき、今までメンバーと共に作り上げてきたことが伝わったのは大きな成果だと思います。

 開催中のトピックスとしては、Uサッカー実施中にフリーの男性が2名グランド外からプレーを1時間ほど見学していました。私は状況的に対応できなかったのですが、代わりにUサッカーメンバーが自発的に対応してくれ、私が代表であることと、月一で開催していること、モルックも始めたこと、感染対策してくれればフリーで来ても大丈夫など、事業の概要を的確に伝えていただきました。終了後、対応してくれたメンバーに見学していた理由を聞くと「ブラインドサッカー(視覚障害者のサッカー)とかCPサッカー(脳性麻痺者のサッカー)とか、各カテゴリーのサッカーは知っているけど、ごちゃ混ぜで、しかも盛り上がっているのは初めてだ」と言われていたそうです。まさに当事業の狙いが外側から見ただけでも感じていただけたことは大変嬉しく、またその対応をUサッカーのメンバーが自発的に対応してくれたことも大変嬉しい出来事でした。
 そしてもうひとつ嬉しい出来事は、今回の活動報告書を執筆家の長野氏(電動車椅子ユーザー)が忙しいなか作成してくれたことです。本当にありがたく、今後より一層メンバーと協働しながらこの事業を作り上げていきたいと思いました。

 最後になりますが途中から雨が降るなか、管理事務所の本堂さんも共に1日ご参加、ご協力いただき誠にありがとうございました。当事業はコロナウィルス感染防止のため途中5か月間中止になりながらも、開始から1年を迎えることができ、開催した8カ月間の実績は総参加数153名、平均参加人数は19.1人と増加傾向。Uモルックを始めたことが影響していますが、Uサッカーの参加数も新規参加者が増え増加傾向です。この1年で新たな繋がりができ、新たなコミュニティが生まれました。
 コミュニティ内ではメンバー同士が障害の有無関係なく新たな活動をはじめたり、支え合ったり、プライベートを共にしたり、日常的には主にFacebookを通じてオンラインで交流をすることで、コロナ禍においてもコミュニティ内での交流は止まらず、特にオンラインでは障害のあるなしの壁はなく、所沢市外、県内外問わず遠方の方でも日常的にコミュニケーションをとっています。多様な方々がオンラインとオフラインで繋がり合うハイブリッド型の地域共生コミュニティが形成されていると感じると同時に、最近では「静岡、島根、県内、都内など多方面から「Uサッカーをやってみたい!」とお声掛けいただくこともあり、事業の波及効果を感じております。

 このように、この一年間コミュニティ内で起こった事象に関してはまた別途ご報告させていただきたいと思います。引き続き当事業の目的である地域共生社会づくりをコミュニティの皆様と航空公園管理事務所の皆様と共に進めていけたら幸いです。今後とも宜しくお願い致します。

鮎川地域共生コミュニティ研究所
所長 鮎川雄一